2010年3月15日

第一生命上場後のIPOマーケット、「紀文」も有力候補に浮上、IPOセミナーの客足戻る

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IPO(新規上場)市場に薄日が差し込んできている。4月1日上場の第一生命(8750)に続き、4月16日に防護服のアゼアス(3161・JQ)が新規上場することが明らかになった。これで2010年IPO承認社数は8社。1970年代後半以来のIPO低水準に泣いた昨年(1―4月IPOは7社)水準をひとまずクリアしてきた。

NTTドコモ以来、11年6カ月ぶりにオファリング総額1兆円を超える可能性(想定価格15万円ベースで1兆809億円)もある第一生命は目下、ブックビルディング期間中(3月9日―18日)。応募状況は「問題なく進んでいる」(市場関係者)とされ、順調にこなしているもよう。

さて、第一生命に続くIPO有力候補はどうか。野村証券主幹事で「大塚HD」「ポーラ」、大和証券主幹事で「ポッカ」、大和・三菱UFJ証券共同主幹事で「アヴァンストレート」、三菱UFJ主幹事で「シンバイオ製薬」が挙がっていることは既報済みだが、さらに紀文食品(東京都中央区)がIPO有力候補に急浮上。

紀文は水産練り製品を主体とした総合加工食品メーカー。連結売上高1045億円、資本金44億2580万円(前3月期末)という規模感。1970年代前半から海外拠点展開にも乗り出し、現在はタイ、米国、シンガポール、香港にも拠点を置く。主幹事証券としてみずほインベスターズ証券が務めるもよう。

このほか、マッサージチェア最大手のフジ医療器(大阪市)、介護事業のウィズネット(さいたま市)、渋谷109系からナチュラル系まで幅広い若者向けファッションアイテムのeコマースを手掛ける夢展望(大阪府池田市)などもIPO候補に挙がる。

創薬バイオベンチャーのうち、米アムジェン元副社長の吉田文紀氏が率い、抗がん剤開発を手掛けるシンバイオ製薬のIPOは"鉄板"とされる。一方、脳梗塞(こうそく)治療薬などを開発しているエムズサイエンスは、IPO条件とみられていた脳梗塞治療薬の第3相臨床試験に向けたエーザイとの提携交渉が不調に終わり、IPO時期は市場期待よりも遅れる可能性が出てきた。ただ、「交渉不調はエーザイの組織変更のあおり。第2相臨床試験結果は非常に良好で、薬効薬理に問題はない。複数社が"ポスト・エーザイ"候補に名乗りを上げている」(市場関係者)としており、タイミング待ちの状況に変わりはないようだ。

また、IPOを取り巻く環境は一時期に比べ改善してきている様子。「業績回復感などを背景に先行きを見通せるようになりつつあり、昨年12月あたりから出資依頼が増えてきた。業種では新エネルギー関連、IT関連の案件も徐々に増加」(証券系ベンチャーキャピタル)。また、「未上場企業を対象にした監査法人、印刷会社主催のIPOセミナーも参加人数が戻ってきている」(市場関係者)。

2月26日にみずほ証券、大証、ジャスダック証券取引所の3社共同で開催されたIPOセミナー「日本を元気にするセミナー」も130社を超える未上場企業が参加し大盛況。IPO関連業務に携わる複数の市場関係者から、IPOを取り巻く環境の底打ち感、潮の目の変化を感じ取る声が聞かれるようになってきた。

むろんベンチャー企業よりも、知名度や事業規模の大きい大企業の方が不況抵抗力があり業績面も安定、募集額が多ければ多いほど、IPO1件当たりの手数料額が膨らむこともあり、近年、証券会社サイドは経済情勢や市場環境を踏まえて、どちらかといえばIPO確度の高い大手・準大手企業、老舗企業の開拓を積極化してきた。

こうした事情もあり、2010年IPO社数は20―30社台(前年は19社)と件数は依然低水準にどまる可能性はあるものの、IPOマーケットは着実に復活に向かいつつあるようだ。(日本証券新聞)


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2010年3月10日

ライツ・イシュー第1弾 タカラレーベン2割安の「なぜ?」 既存株主に優しいはずが...

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タカラレーベン(8897)の株価動向が市場関係者の関心を集めている。前週末に「2006年会社法施行後、初のライツ・イシュー(新株予約権の無償株主割当)」を発表後、大幅続落に見舞われたためだ。

ライツ・イシューは、(公募増資とは違い)株主価値の希薄化につながらない「株主に優しい資金調達手法」とされ、かねて東証の斉藤惇社長なども、普及への期待を表明してきた経緯がある。ところが第1弾となったタカラレーベンの場合、発表直前の5日終値559円から、9日安値443円まで、2日間で2割を超える急落となっている。これでは、公募増資発表時の反応と変わらないことになるが...。

同社のライツ・イシューの仕組みは、3月末時点の株主(権利付き最終日は26日)に対し、1株に対して1個の割合で「新株予約権」を無償で割り当てるというもの(会社法278条2項の規定により自己株式には割り当てず)。

新株予約権を行使する場合、5月6―31日の期間に1個当たり300円を払い込んで請求すれば、3営業日目に新株が交付される。払込価格は、発表時点の株価より46%強のディスカウント。既存株主にとっては、時価よりも大幅に低い価格で新株を購入する権利を得ることになる。

なお、29日の権利落ち日の理論価格は、「26日終値」と「払込価格(300円)」の平均値(配当落ち分は考慮せず)となる。株主にとっては、資金の追加投入を避けて権利放棄すると、権利落ち分が損失になってしまうが、4月1日には新株予約権が上場される見通しにあり、予約権のみを市場売却することも可能だ。

ちなみに、「市場価格」と「旧額面」の中間の価格帯での新株発行は、1980年代ごろまでは「中間発行増資」と呼ばれ比較的盛んに行われていた手法。新株引受権証書が上場されるケースもあった。旧証券取引法の下、「近年では、2003年5月に取締役決議が行われた東京理化工業所(東理HDの前身企業)なども挙げられるが、実施例は少ない」(東証担当者)とされる。タカラレーベンの新株予約権については、「申請を受けて、審査・承認する手順となるが、審査はおおむね形式基準が中心」(同)とされ、4月1日上場にも特に障害はなさそうだ。

ノンコミット型も背景か

タカラレーベンが、調達手段に「ライツ・イシュー」を選択した背景として、市場では「公募増資では大規模調達が困難」「オーナー社長の持ち株比率を33%超で保ちたかった」などが観測されるが、株主に優しいはずのライツ・イシューがなぜ、約2割もの株価急落につながったのか。

ライツ・イシューの本場・英国においては、特定の金融機関が、一定期間行使されなかった新株予約権をすべて引き受け、行使することを発行会社に約束(コミットメント)するのが一般的。タカラレーベンのライツ・イシューは、こうした約束のないノンコミットメント型であることに特徴がある。

5月末の行使期限まで払込額が確定せず、最大47億円とされる調達金額も、失権が相次げば、その分少なくなる。極端な話、行使期間中に300円を割り込んだままなら予約権は無価値になってしまう。また、新株予約権が東証上場されても、どれだけ流動性が確保されるかは全くの未知数。

会社側が担当者不在のため、なぜノンコミットメント型にしたのか、どの程度の行使を見込むか、などについて締め切りまでに確認できなかったが、市場関係者も、新制度適用第1号例を前に、どう消化すべきか戸惑っている面もあるようだ。メリルリンチ日本証券の9日付「日本株投資戦略メモ」は、「今回のライツ・イシューは今後増資を必要とする大手銀行にとって、よい練習になるかもしれない」と結んでいた。

なお、「親株の時価から300円分を差し引いた額」が、新株予約権の理論的価値となる。オプション取引のコール(買う権利)と同じメカニズムであり、4月1日の新株予約権上場時には、低く始まった方が、後の投資妙味が高まる可能性はありそうだ。(日本証券新聞)

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2010年3月 9日

第一生命のブックビルディング価格決定、仮条件12万5000円~15万5000円、上場初日は売り方不在?

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2010年4月1日に株式会社化・IPO(新規上場)する第一生命保険(8750)のブックビルディング仮条件が3月7日に決定し、8日午前11時に発表された。仮条件は1株12万5000円から15万5000円で、2月22日に提出された目論見書に記載の想定売出価格(15万円)に沿った内容となった。同社の上場時発行済み株式総数(予定)は1000万株で、時価総額は1兆2500億円から1兆5500億円となる予定だ。

12万5000円から15万5000円で決定した仮条件について、カブドットコム証券営業推進室マーケットアナリストの藤本誠之氏は「想定売出価格である15万円を考えると想定内だが、感覚的には安い印象」という。ただ、売出価格は低い方が良いとの指摘も出ている。「第一生命側としては売出価格をあえて高くする必要ない。公募する株式がない上、メガバンク3社など安定株主38社に21%分、210万株を優先的に割り当てるとあって、低い売出価格と上場後の株価上昇が望ましいシナリオだろう。また、M&A(企業合併・買収)やTOB(株式公開買い付け)などの戦略が視野に入っており、将来的な公募増資などエクイティ・ファイナンスを見据えると上場後の株高が理想的だ」(藤本氏)という。

直近IPOの初値動向が注目される第一生命だが、藤本氏は「全く予想ができない」としながらも、「ただ、一本値で決まる上場初日に誰が売ってくるのかという疑問は残る。さすがに安定株主は売れないだろうし、約290万株を持つ保険契約者の中には株式売買に不慣れで様子見となる新規投資家や、国内外に約500万株を割り当てる一般投資家の中にも長期的視点の投資家も多いだろう。そうなると、買いは投機的な思惑を持っている向きも多い中、売りはバラバラとなる」(藤本氏)と指摘。

売出価格比3割高の初値予想も

第一生命の株式公開で保険契約者と安定株主を除いて、一般投資家向けに売り出されるのは国内外で約500万株。その内、機関投資家と一般投資家に割り当てる比率については「当社は関与していない」(第一生命保険広報担当)、「数字は公表していない」(野村ホールディングス広報担当)としている、引き受け比率は主幹事証券の野村ホールディングス(8604)が約42%、みずほ証券(8606)が約31%となっており、市場関係者からは「営業戦略上、一般投資家にも広く割り当てるのではないか」といった声が出ている。もしも野村やみずほに証券口座を持っていたら積極的に参加しても良さそうだ。

なお、今後のスケジュールは、売出価格決定日は3月19日だが、「発表は3連休明けの23日の予定」(第一生命保険広報担当)という。(日本証券新聞)

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2010年3月 2日

4月1日上場の第一生命保険、初値決定方法は板寄せ方式

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 東京証券取引所は1日、4月1日に上場を予定している第一生命保険 <8750> (売買単位は1株)の初値決定方法を公表した。
 同社株の注文(新規注文、注文の取り消し、注文の変更)は午前8時から開始され、前場終了時の午前11時までと、午後零時5分から午後1時まで受け付ける。午後1時に板寄せ方式(用語解説)で初値を決定する。初値決定日の売買は初値決定時の一回のみとし、初値決定後の売買は行わない。
 成り行き注文と指し値注文を受け付けるが、指し値注文の可能の範囲は、売り出し価格の2.3倍から0.75倍の間とする(想定発行価格15万円を基準とした場合、34万5000円から11万2500円)。売り出し価格の2.3倍から0.75倍の範囲内で、初値成立の合致条件を満たした場合には、特別気配の表示を行わず初値を決定。条件を満たしていない場合(売りまたは買いのどちらか一方に注文が偏っている)には、特別気配を表示して立ち会いを終了する。翌日は、前日に出された特別気配値段を基準値段とし、2.3倍から0.75倍の範囲内で指し値注文を受け付ける。また、引け条件付き注文および寄り付き条件注文は禁止で、制度信用取引は利用できない。
 初値決定後は、他の内国株券と同様の取扱いとなる。

 「板寄せ方式」(用語解説)=板寄せ方式とは取引所の売買成立方法の一つ。(1)成り行きの売り注文と買い注文がすべて約定(成立)する(2)約定値段より高い買い指し値注文と約定値段より安い売り注文がすべて約定する(3)約定値段において、売り注文または買い注文のいずれか一方がすべて約定する――以上3つの条件を満たした場合に売買が成立する。(モーニングスター社)2010/03/01 19:06

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2010年2月23日

3月新規上場銘柄はバラエティームード好転から予想外の人気化も

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2010年IPO(新規上場)マーケットは3月3日に開幕する。スロースタートながらここまでで、3月のIPO案件は6社と前年同月水準を確保した。

昨年1年間の新規上場案件は19社(2008年比61%減)と、現在の新興3市場体制が実質的に整備された2000年以降の最小記録を更新。今年はまだ先は長いとはいえ、前年の"IPO氷河期"からの"雪解け"ムードもやや感じられる状況となってきた。

また、3月IPO銘柄の顔触れもバラエティーに富む上、好発進期待の持てる銘柄も散見され、第一生命上場に向けた"露払い"的役目も十分に果たしそうだ。

業態妙味...アニコム、セルシード

3月のIPO銘柄だが、業態面で注目を集めているのが、ペット保険のアニコムホールディングス(8715・東マ)と、再生医療関連のセルシード(7776・NEO)。

アニコムは想定価格(1800円)から算出した市場からの資金吸収額が15億円超と過大感はなく、上場前株数の推定65%以上にロックアップが掛かり、順調発進が予想されている。

セルシードは角膜再生シートをはじめとした再生医療製品の研究開発を手掛けるだけでなく、再生医療産業を支える画期的な製品や技術を保有し、活躍余地の大きさが指摘される。先行投資時期のため来期まで赤字予想だが、再来期には黒字転換する見込み。

想定価格(1440円)から算出した時価総額は77億円程度で、比較対象企業(J・TECなど)などからみても評価余地がありそう。また、VC(ベンチャーキャピタル)のほとんどすべてがロックアップ対象となっていることも、需給安心感を誘う。

需給妙味...エスクリ

需給面から注目されるのは、挙式・披露宴の企画・運営を行うエスクリ(2196・東マ)。想定価格(610円)ベースの市場からの資金吸収額が5億円未満、PER1ケタ、業績変化率も抜群で、「軽量感」「割安感」「高変化率」と三拍子そろい、好発進が期待できそうだ。

求心力...Paltac

市場求心力の観点では、メディパルHD(7459)傘下で化粧品・日用品卸を担うPaltac(8283)も外せない。所属部未定ながら想定価格(2300円)ベースの時価総額は856億円で、東証1部上場となる公算大。市場からの資金吸収額は368億円。

同社は2005年10月に医薬品卸大手のメディセオHDと統合したが、昨年5月の決算説明会でPaltac再上場の意向を表明していた。「経営統合後に事業再編を行い、医薬品はメディセオ、化粧品・日用品はPaltacに集約。おのおの顧客層が医療機関、ドラッグストアと異なる上、改正薬事法施行などによりドラッグストアなど小売りの事業環境が大きく変化した。親子上場問題が議論される状況ながら、ともに成長して勝ち残るには事業特性に応じた迅速な経営判断、資金調達の多様性を確保できるこの手法がベストと判断した」(メディパルIR担当)としている。

なお、メディパルはPaltac上場に際して900万株を売り出す。同社は売り出し後でPaltac発行済み株数の57%、オーバーアロットメントによる売り出し分を含めても50%を若干上回る保有比率を確保する。また、メディパルは今回の売り出しで207億円を調達する見込み。「資金使途は現段階では公表していないが、タイミングによってはM&A(企業合併・買収)資金に使う可能性もあろう」(同)とし、メディパルの次の一手にも関心。(日本証券新聞)

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